「どんな工業製品が、10万元(約210万円)も値下げしてなお品質を保証できるというのか?」 2025年5月、中国自動車大手の長城汽車の魏建軍会長は、ある公開インタビューの場でこう問いかけた。 その発言は、現在の中国自動車市場が直面する最大の課題である「底なしの値下げ競争」を鋭く批判したものだ。 ここ数年、中国の電気自動車(EV)などの新エネルギー車が強い勢いで伸び、年間生産と販売台数はすでに3000万台を突破し、世界の自動車産業の新たな中心地となった。しかし、この繁栄の裏側では、資本の力に支配された「内巻(ネガティブな過当競争)」がますます深刻化している。新車は発売直後から値下げされ、航続距離 …
